KGC10ハコスカ ボールナット式 ステアリングギア
直進走行はOKだけどステアリングをきると、ゴトゴト異常音が発生するとのご依頼で、修理入庫しました。
症状から判断するに何かが曲がっているのではなく、ステアリングギアボックスのギア欠けを疑いました。
まずはステアリングギアボックスの蓋を取り外し、注入してあるオイルを抜いてやります。
年式相応ではありますが錆が酷いです。この様な不純物でギアの摩耗や欠けが発生する場合もあります。
シャフトと上部側のボールベアリングを取り外しましたが、ここには異常が認められませんでした。
残ったオイルで見えませんが、下部側のボールベアリングをマグネット棒で釣り上げます。
ボールベアリングが割れてる・・・
ベアリングが粉砕して異常音が発生していた事が判明致しました。
次は反対側のセクターギアを分解します。前項と同様に錆でドロドロの状態です。
取り外した蓋の裏面にも、錆の小さな塊が多々あります。
取り外したセクターギヤに異常は認められませんでした。ここに問題あると高額になるので一安心です。
セクターギアのシャフトが通っていた穴も変摩耗は無く、再使用が可能と判断しました。
ギアボックスの内外をシンナー液で洗浄し、表面に付着しているギアオイルや錆を洗い流します。
シンナー液で落ちない錆をワイヤーブラシーで研磨します。
アウター側の内部も可能な限り磨いてやります。
再度シンナー液で洗浄し、錆の残りを確認しながら研磨を行います。
深く浸透した錆を完全に取りきるまでは出来ませんが、納得できるレベルまでは清掃出来ました。
外装の黒い純正塗装をワイヤーブラシを使って剥離し、再塗装の準備をします。
他の部品も洗浄が完了し、組み上げ準備が整いました。
オイルシール(中央の黒い丸いゴム)を装着します。因みに内部の赤茶色は錆ではありません。
左側がボールベアリング(2個使用)・右側がベアリングレースとなり、日産純正部品を使用します。
ベアリングレースをプレス機で圧入し組み込み完了です。
続いてウォームシャフトとセクターギアを組み込みます。
アウター側のボールベアリングを蓋の裏面に入れ、ケース本体にオイルシールと一緒に組み付けます。
蓋の締め具合を調整して、内部のベアリングとのクリアランスを調整します。
アウター側とウォーム側のシャフトを手で回してみて、動作に問題が無いか確認します。
蓋を装着しギアオイルを注入して、中央あるボルトを回し、セクターギアへのテンションを調整します。
錆対策の為にシャーシブラックを塗布し、完成となります。