KGC10ハコスカ トランク
セミレストアのご依頼をいただき、今回はその一部のトランク施工事例をご紹介させていただきます。
スペアタイヤ収納部は取り外して画像にはありません。黄色枠の部分は周辺よりなぜか段差?があります。
ベルトサンダで塗装膜を剥離してやると、パテ層(薄いピンク色)がでてきました。
純正は1枚の鉄板で構成されているはずですが、なぜか溶接跡があるので剥がしてみると・・・
「何じゃこりゃ~!?」松田○作
純正鉄板の腐食を隠す為に、鉄板が追加で上から溶接されています。
あり得ないような話ですが、旧車にはこんな施工が多々実在します。
腐食箇所の周辺を切断します。
切断完了です。もっと広範囲の補修を行いたいところですが、ご予算の関係で最小限の範囲となります。
切断した箇所を再建するので、平たい鉄板に大まかな図面をひきます。
大まかに切り取った鉄板を、ハンマーで叩いて造形していきます。
こんな感じに仕上がりました!
曲線を綺麗にだすのは本当に大変で、時間をかなり必要とします。
車体側と形状を一致させる為に、少しづつ鉄板を切り取り調整します。
鉄板の形が整ったら溶接で仮固定してやります。
仮固定の溶接は点付で行い、その都度ハンマーで叩いて段差を最小に留めてやります。
仮溶接と段差修正が完了した後は、全周溶接により完全に固定してやります。
盛り上がったビード(溶接跡)は、サンダーで削り落としてやります。
溶接の繋ぎ目も目立たたず、綺麗に造形する事ができました。
スペアタイヤ収納部は腐食が酷く補修を断念し、当店の中古在庫を使用する事となりました。
カップブラシを使い塗装膜を剥離してやります。
当部品はトランク内に侵入した雨水が溜り腐食しやすく、この程度でも極上品となります。
下地処理第1弾は錆止め剤(黒色)を塗布します。
下地処理の第2弾はサフェーサーを塗布します。
余談ですが雨水のトランク侵入はハコスカの弱点なので、当部品はヤフオクで高額な売買がされています。
上面のサフェーサーが完全に乾燥したら、反対側も同様に施工します。
スペアタイヤ収納部を車体にはめ込み、数ヶ所をボルトで仮固定してやります。
点付溶接で車体側に完全固定してやります。前項で仮固定したボルトは勿論、取り外して溶接します。
全ての箇所の溶接が完了しました。
車体側との大きな隙間(浮き)も無く自己評価は◎です。
盛り上がったビード(溶接跡)は、サンダーで削り落としてやります。
スペアタイヤ収納部の底面側に、UCコート922(アンダーコート)を塗布してやります。
外部からの湿気進入を避ける為に、接合部はUCコート922を念入りに施工します。
トランク内の塗装膜を剥離した箇所は、防錆液を塗布します。
スペアタイヤ収納部と同様に、トランクもサフェーサーを塗布します。
その上からUCコート922を塗布してやります。
そして最後にボディ色と同色のシルバーを塗装し、4層塗装となります。
入庫時はスペアタイヤを載せると底抜けしそうな状態でしたが、かなり改善されました。
4個の黒いゴム蓋はホームセンターでサイズが一致する物を探し装着しました。
オーナー様の愛着が感じられ外観はピカピカです。今後も大事に長く乗られてくださいね。