SOLEX(ソレックス)40φ S5型 オーバーホール
動作するようにしてほしいとの事で、トヨタ車純正ソレックスのオーバーホールのご依頼です。
2基(前項の画像AとB)のうち、Aをメインにご紹介させていただきます。
バンジョーボルトを外します。
蓋を外したらそこに絶対無いはずのボール(黄色矢印)がありました。
かなり悪い予感がします・・・
反対側のチャンバーカバーを外し、内側を目視確認します。
予想通り腐ったガソリンがヘドロ状になっていました。
外周の左右の大きな穴(次項参照)からウエイトを抜き取ります。
正しくは画像の穴の中ににボールが入っていますが、ボールは無く4項目前の謎(ワープ?)が深まります。
ここでBのソレックスに問題発生です。スクリューパイロット(黄色矢印)の高さに違和感を感じました。
分解してみると左側はS5型用で正解ですが、右側はなぜか4型用が装着
(全長が短い)されていました。
再度、Aのソレックスに戻ります。
フロートの金具が極端に曲がっていないか確認しOKです。
ダイヤフラムのレバーが左に曲がっています(黄色矢印)ので、後から板金修正を行います。
バタフライ(銅色の丸い蓋)に曲がりは無いようなので、清掃し再使用します。
スロットルリターンスプリングは錆ていますが、折れる程腐食はしていないので真鍮ブラシで磨きます。
ダイヤフラムを外すとガソリンが腐ったカスがありました。燃料詰まりの原因となるので要清掃です。
ダイヤフラムのカバー裏側も同様の状態なので清掃してやります。
バタフライを開閉させる部分のステイを分解したいのですが、-ネジが完全に潰れて(黄色矢印)います。
マイナスドライバーで外せないので、やむを得ずナットをミグ溶接で固定します。
こんな感じで下側にある潰れたーネジと接合します。
めがねレンチを溶接したナットにかけ回してやります。
-ネジの底部が錆びており、ここが原因でネジが潰れる程強い力で外そうとしたと思われます。
10項目前に記述したダイヤフラムのレバー曲がりですが、万力で固定しペンチで手曲げ修正します。
レバーを手前/奥に動かし、スムーズに動けばOKです。
全てバラバラに分解出来ましたので、洗浄作業を開始します。
ソレックスのAとBでは外装の汚れの差が大きいので、同じような色合いになれば良いのですが・・・
オーナー様からウェットブラストはしないとのご意向なので、ワイヤーブラシを使い手作業で磨きます。
シンナー系洗浄液で汚れを落とします。毎度の事ですが有機溶剤なので鼻と喉にとても良くないです(涙)
本体カバーの洗浄が完了しました。AとBの色の差がほとんど無くなりビジュアルOKです。
ポンプジェットの燃料ラインが詰まっていたので、極細のワイヤーを使い貫通させました。
その後洗浄スプレーで残った不純物を洗い流し、ガソリン流量が正しく動作するようになりました。
S5型のオーバーホールキットは亀有エンジンワークスのカタログには掲載されていませんが注文可能です。
組み上げ工程の作業紹介は割愛させていただきます。今回の掲載記事ですが、経年劣化だけが動作不(次へ)
良の原因ではなく、組み上げ工程の間違いが数ヶ所ある、よくある悪い事例となります。
購入したSOLEXの調子が悪いと感じたら、組み上げ間違いによる不調も疑ってみてください。
※ 参考価格
キャブレター1基(2気筒) オーバーホール工賃 10,000円~ (税抜)
カメアリエンジンワークス製 SOLEX S5型用 オーバーホールキット 1基あたり 5,000円 (税抜)
カメアリエンジンワークス製 SOLEX S5型用 スクリューパイロット 1本あたり 900円(税抜)
カメアリエンジンワークス製 SOLEX ボール 1個あたり 140円(税抜)
部品の消耗度・程度等により料金はかなり幅がありますので、お見積もりは現品を確認した後となります。