SOLEX(ソレックス)44φ 4型 オーバーホール
今回のご依頼はソレックス単体でのオーバーホールです。3基分の画像が混在していますがご了承ください。
外観はそれなりに錆が発生していますが、製造年式を考えれば状態は良さそうです。
まずは上部のカバーを外しジェットが姿を見せます。
内部に錆は有りませんが・・・
スタータージェットの周辺には、ガソリンが腐ったと思われるヘドロ状の物が付着しています。
ジェットの土台を取り外しました。土台の底部分にあたる箇所は綺麗で問題はない状態です。
ダイヤフラムのカバーを取り外すと、パリパリに乾いた不純物の汚れが固着していました。
ダイヤフラム本体側には、どす黒い謎の液体が付着しています。
キャブレターの内部は汚れてはいますが、錆は無いようなので清掃だけで済みそうです。
ソレックスキャブレターの原理は単純ですが構造は複雑なので、分解するとかなりの部品点数になります。
初期洗浄は洗浄用シンナーに長時間浸し、汚れを浮かせて磨きます。
トレイに入らないような大きな部品は、洗浄用シンナーを洗浄機で噴射して洗い流し磨きます。
軽度な汚れは一掃されましたが、やはり固着物はほとんど取れずに残っています。
パッキンの残骸等をスクレーパーを使って剥離します。
続いて砥石で研磨し面をフラットに仕上げます。丁寧に処理しないとガソリン漏れの原因となります。
今回はワイヤーブラシでの手磨きですが、外注でウェットブラスト 1基本体のみ 8,000円~(税抜)も可能。
ソレックス外装の手磨きが完了したら、再度洗浄を行います。このような作業を3回以上繰り返します。
エアーノズルをガソリンの通路に差し込み、細かい汚れも清掃してやらないと詰まりの原因となります。
ガソリンが噴射される4個の穴(画像の黄色丸)ですが、長期間使われていないソレックスは、詰まりかけている事が非常に多いです。
その場合アイドリング不調が発生しやすいので、長期未走行車・長期保管のソレックスは清掃が必須です。
ソレックス本体のみの清掃がようやく完了です。
遺跡?のようなダイヤフラムカバーの清掃に着手します。
小型のワイヤーブラシを使い、歯医者か彫刻家のように固着物を削ってやります。
時折パーツクリーナーで洗浄しながら磨き具合を確認し、そしてまた削ります。
前項のカバーの反対側(画像上)になりますが、こちらも固着物を綺麗に削ってやりました。
ソレックス本体にガソリンを入れてやり、正常に噴射するかの動作テストを行います。
このような感じで左右から均等にガソリンが噴射(画像上)されればOKとなります。
バタフライ(金色の丸い蓋)のネジを締め固定します。締めすぎると変形してしまうので慎重に作業します。
バタフライの固定が完了したら、開閉動作とクリアランス(隙間)の確認を行います。
ここからはオーバーホールキットを使い、ようやく組み上げ作業に着手します。
フロートレベル(油面位置)をある程度決める為に、フロートとガスケット仮り組みします。
このようにフロートの高さをある程度決めてやりますが、車両装着後にも調整は必要です。
左右のフロート高さが合わなかったのでフロートアームを曲げて、高さの調整を実施しました。
ここからは分解した手順と逆に組み上げていく工程になるので、画像解説は割愛させていただきます。
冒頭でご案内した通り今回はソレックスのオーバーホールのみのご依頼なので、装着作業はございません。
車両装着作業とソレックス調整作業のご紹介は、別の機会にさせていただくように致します。
最後に一言… ヤフオク等でオーバーホール済みの商品を高額で見かけますが、経験上NGが多いですよぉ~
※ 参考価格
キャブレター1基(2気筒) オーバーホール工賃 10,000円~ (税抜)
カメアリエンジンワークス製 SOLEX 4型用オーバーホールキット 4,230円 (税抜)
カメアリエンジンワークス製 44φ バタフライ 1枚 3,476円 (税抜)
部品の消耗度・程度等により料金はかなり幅がありますので、お見積もりは現品を確認した後となります。