当ページではGC110ケンメリに搭載された、L型エンジンのヘッド加工作業をご紹介させて頂きます。
入庫時はエンジンルーム塗装・バッテリー移動といった作業でご依頼を頂きましたが、作業前の目視確認にてヘッドとエンジンブロックの間に、冷却水漏れによる錆の痕跡が見つかりました。
当初の予定通りエンジンを降ろし(画像左上)エンジンルームを確認(画像右上)した結果、冷却水漏れ以外にもオイル漏れの跡も数箇所程、見受けられました。
上記のような状況をオーナーさんにご相談させて頂き、エンジンヘッドを分解する事となりました。
その結果、ヘッド燃焼室側の冷却水が通る穴(画像左上の黄色丸内)が腐食により崩れており、そこから冷却水が漏れている事が確認出来ました。
上記のように腐食等で変形している場合には、アルゴン溶接で欠損部分を肉盛りをしてやり、補修する方法もありますが、今回は中古品の同型ヘッドを用意できましたので交換し、ポート径拡大の加工をする事としました。
まずはシャーシブラックを塗布(画像左上)してやり、乾燥後にガスケットと重ねて拡大加工する大きさにけがき作業(画像右上の黄色枠内)を行います。
けがきしたサイズ(吸気側穴径41φ)まで目の粗いリューター等を使い荒削りを実施します。
荒削りで大まかに削れたら、段階的に目の細かいリューターに交換し、徐々に鏡面仕上げにしていきます。
インマニ側とエキマニ側の施工が終わりましたら、次は燃焼室側の作業(画像左上)を行います。
今回はビッグバルブへの交換は行いませんでしたので、バルブ裏側(画像右上)の拡大加工のみ実施しました。
全ての加工作業が終わりましたら洗浄作業(画像左上)を行い、取り外していた各パーツ(画像右上)を組み上げていきます。ヘッド面研は外注依頼により施工済みです。
腰下のエンジンブロックやピストン等は元々、L28改L3.0仕様なので今回はオーバーホールのみ行います。
エンジンブロックの目くら蓋も水漏れ対策で交換します。まずは取っ手となるステイ(画像右上の黄色枠内)を電気溶接で目くら蓋に接合します。
そしてガスバーナーで目くら蓋を加熱してやります。
溶接したステーを上下に動かしながら徐々に外していきます。同様に側面の目くら蓋も取り外します。
エンジンブロックを塗装(画像左上)後に、側面の目くら蓋(画像右上の黄色丸内)を装着してやります。
ピストン・コンロッド・クランクシャフト・ウォーターポンプ・オイルポンプ等の各パーツを組み付けていきます。
エンジンが組み上がったら車両に搭載(画像左上)し、エキマニやキャブレター等の各パーツを組み付け(画像右上)ていきます。
各パーツが全て組みあがりましたら、キャブレター同調のセッティングを実施し完了となります。
ヘッド加工は気筒数・バルブ数・加工仕様により、料金はかなり幅がありますので詳細はお問い合わせ下さい。